ふと思い立ってヴェトナムを初めて訪れたのが1995年の3月。
ツアーとは無関係の一人旅。ガイドブックだけを頼りに歩き回った5日間。
そのうちの2日間を中部の古都フエで過ごした。
雨季でしっとりと霧雨に濡れていたフエはいかにも歴史を感じさせる佇まいで,そこが気に入った僕はその後何度も訪れるようになった。
(以下の旅行記は1995年3月のものです)
サイゴン・タンソンニャット空港から約2時間。
さっきまでの南国の熱い太陽は嘘のように,ひんやりとした霧雨になっていた。待合室で僕は長袖のシャツを急いで羽織る。さすが南北に細長い国土,気候が緯度によってかなり違うのか。
フエ空港は市街地からは少々離れている。街までどうやって行こうか? ・・・悩むことはなかった。そこらにいる白タク運転手が次々に声をかけてくる。その中の人のよさそうな中年男をつかまえて,交渉。とりあえず市街地まで行ってもらうことにする。
窓から見える風景は,ちょっと前の日本にもあったような一面緑の田圃。雨に濡れ,水蒸気にぼやけるそれは,まさしく梅雨時の田舎。
思わず見とれる僕に,ドライバーが英語で聞いてくる。
「ホテルは決めてるのかい?」
実はまだだった。高くなくてほどほどにいいところはないかと尋ねたら,案内する,という。部屋を見てよくなかったら別のところを探せばいいと考えて,承諾。
連れて行ってくれた所は新市内のレ・ロイ(Lê Lợi)通りにあるミニホテル・ホアホン1。温水シャワー,エアコン付きで1泊30$。部屋の広さもほどほどだし,従業員の愛想もいい。
下に降りて,フロントで若い女性に手続きをしてもらう。浅葱色のアオザイがよく似合っている。2泊だ。
まだそこにいたドライバーが,どうだと言わんばかりに笑いかけてきた。
「いいホテルだろ?」
「そうだね。どうもありがとう」
「これからどうする?」
・・・フエといえば最後の王都だった都市。ガイドブックで見るからに歴史的な見所が多い。
「皇帝陵を見に行きたいな」
「それじゃ俺がガイドしようか」
渡りに船,とばかりに飛びついた。
今日これからフエ郊外に点在する皇帝陵と主な寺巡りの案内で,20$(ぐらいだったか・・・記録してないので実額は不明)。
出かける前に,ガイドブックでフエの歴史の復習。
古くは,漢の武帝が中部ヴェトナムに置いた日南郡がこのあたりだったとされる。東西交易の中国側の玄関的な位置づけだったらしい。
その後航路の変更により歴史の表舞台から消え,再び現われるのは16世紀後半。黎(Lê)朝の政争に敗れた阮潢(Nguyễn Hoáng グェンホアン)が地方官として赴任してきて次第に勢いを増大。黎朝の実力者・鄭(Trịnh チン)氏と拮抗して事実上の南北分立状態に。
その子孫である阮福映(Nguyễn Phúc Ánh グェン・フック・アイン)が全土を統一して阮朝を創始(1802年),嘉隆(Gia Long ジャロン)帝として即位しフエを首都とした。
19世紀末にフランス植民地となってからも,中部地方を名目的に治める阮朝の都として栄えた。
大内(王城)を中心に旧市街が広がり,郊外には歴代皇帝陵や寺が点在する。
1968年ヴェトナム戦争中のテト攻勢の際に王城の大部分は爆撃と市街戦により破壊されたが,現在ユネスコ等の援助により修復が行われつつある(現在は世界遺産に登録)。
・・・なるほど。
BGM NOW 松任谷由実/Hello, my friend[★★★★★] |
- 2008/11/19(水) 09:15:15|
- フエ(越南)
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