次に訪れるティエンムー寺(Chùa Thiên Mụ)はフエ観光のメッカ。大内(Dại Nội ダイノイ=王宮)とここは誰もが絶対行くという名所中の名所。
南郊の林の中から抜け出して,新市街を通り抜け,二つの市街を隔てるフォン河を渡って旧市街・大内前を河に沿ってさかのぼる。観光客を乗せたバスやシクロ,自転車が多い。
寺の少し手前で自動車を止めて,参道をてくてく歩く。観光客が多いだけあって,それを目当ての物売りもたくさん群れている。絵葉書,カード,水やガム,茶屋の客引き・・・。
僕はその中の絵葉書売りの若い女性に捕まってしまった。この女性がまたしつこい。どうして買わないの? みんな買ってるよ。他の人より安いんだから。ほらこんなにきれいなの。いろいろあるのよ。ね,買って。
「帰りに買うから,ね」
とうとう根負けして,そう言ってしまった。相手はにっこりと
「じゃ待ってるからね」

この寺は船着き場からもアクセスできるようになっていて,そこからまっすぐ上る階段の先が直接境内になっている。
左手には七重塔。慈悲塔と呼ぶそうだ。煉瓦積みの八角形,扉のあたりにはまだ赤い色が残っている。1601年にできた頃はさぞ壮麗なものだったんだろう。
後にフォン河に浮かんだ舟から眺めたら,筍そっくりに見えた。この塔はフエのシンボルになっているそうだ。

門をくぐるとそこは庭園風の空間。雨に濡れた赤い土と芝生・並木の緑が対照的だ。
ここでは本堂などの建物は外から眺めるだけ。この寺の中庭は盆栽や鉢植えがあちこちに配置されている。盆栽は日本のものとはちょっと違っていて,人為的に具象的な形を作る意志が表に出ている。聞くところによるとヴェトナムの盆栽は物をかたどって刈り込むことが多いのだそうだ。
・・・盆栽というよりは,フランスなどから入り込んだトピアリーというべきか。

更に先に進むと,広々とした庭。
糸杉のような細く丈の高い木や竹が風に吹かれ,低く垂れ込めた重苦しい雲とあいまって何やら陰鬱な雰囲気が漂う。先の方に供養塔らしき石の塔が見える。
ぎりぎりのところまで歩いて行ってみた。塀がある。その上によじ登ると,青々とした畑,さらに向こうに悠々と流れるフォン河。そこに腰掛けて,時折さっと降りかかる時雨にさらされながら,しばしぼんやりと眺めていた。
戻ってくると,あの若い女性が早速やってきた。目敏いな,と感心したが約束は約束だ。何かいいものはないかな?と物色を始める。
広げた包みの中には普通の絵葉書の他に,何やらカードみたいな物もあった。
「これは?」
絵を描いた布をカードに貼って,封筒とセットにしたもの。もちろん絵は印刷だが,水牛に乗る少年,アオザイを着て舟を漕ぐ女性,この寺の塔,と柄がヴェトナムらしくてなかなかいい。2枚ずつ買うことにした。・・・にこにこ笑っていたところをみると「いい」値段だったようだ
。
- 2008/12/25(木) 11:22:34|
- フエ(越南)
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