食後の腹ごなしに,とサパの街の背後に聳えるハムロン山(Đồi Hàm Lồng)へと向かう。
足下は危なくない。お日さまは上空でやわらかい表情で下界を見てらっしゃる。トレッキングというよりはピクニック気分の道だ。
登るにつれて,黒い奇岩が増えてくる。こいつは石灰岩。桂林からハロン湾へと続く広大な石灰岩地帯なのだ,このあたりは。
山の名前・ハムロンとは「龍の顎」という意味の漢字語らしい。顎かどうかはわからないが,「龍」という名がつくにはふさわしい姿になってきた。とにかく,永年の風雨の侵食に耐えた石灰岩がごつごつとした厳しくも不気味な恰好で次々と現れる。しかもその色は白でなければ黒。
まわりの緑の草がなければ,ちょっと不安になるような風景かもしれない。霧が出てたらさぞや心細いことだろう。

尾根一つ越えると,向こうの峰が見えた。
・・・これがまた妙な姿をしている。ガメラそのもの! 峰そのものがちょっと尖り気味の甲羅,そこから首を持ち上げて空に向かって咆哮するような形にオーバーハングの巨岩が突き出ている。もしかして「龍の顎」とはこれのことか。自然は時々面白い悪戯をやってのけるものだ。
しかし,そのガメラ峰にはこちらから直接には行けない。深い谷が間に挟まっていて,道があるにはあるが細い上に急な傾斜。下の方からは牛ののどかな声も聞こえていて惹かれるものがあったのだが。
戻り道,サパの街を見下ろせるポイントに出た。
下から風が吹き上げる。この空気の流れが,朝の霧を作り上げ運んでいくのか。眼下にはサパの街が箱庭のよう。濃い桃色の屋根に白い壁,なんだかかわいらしい。
視線をずらすと,何という見晴し! 朝,そして昼前に眺めた谷間のライステラスに遥か遠くの霧だか雲に霞む峰。手前の山々からは,またしても霧が音もなく湧き出す。折しも空を覆っていた雲が風に流されて,途切れ途切れになった隙間からぱあっと光の筋が射し込む。
冬の寂しい風景の中,なんとも神々しい眺めだった。
ハムロン山は,当時はまだ整備途中だったが,今は公園として存分に歩き回れるようになっているらしい。また訪ねてみたいものだ。
BGM NOW AQUA/Good Guys[★★★★] |
- 2008/01/30(水) 14:16:30|
- 北部(越南)
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0