The 3rd. ..........なべてこの世はこともなし

 1999年に沖縄移住したゲイが垂れ流す身辺雑記,気になる記事,年下彼氏とのノロケ,過去旅話。

No.5011:ダナン(Đà Nẵng)を巡って12

 翌朝。
 大欠伸一つして,僕はふかふかベッドから起き上がった。今日は半日かけてのフエ(Huế)への移動日だ。
 予約していたフエ行きのツアーバスが迎えに来るのは11時。チェックアウトもその頃にさせてもらうことにして。ふらふら朝の街歩きでもしようか,と外に出たら昨日のシクロマンがにこにこ笑って立っていた 。このミニホテルの前を客待ち場所にしているのか,それともフエ行きのバスに乗る前に僕がどこかに出かけるかもしれないと読んでいたのか。
 「Where will You go?」
 ・・・当てはないなあ。ちょうどいいからまた頼もう。向こうもそれを期待してるわけだし。
 赤いビニール張りのシートに座り込んで,出発進行。で,どこへ?
 「Well, at first, Bach Dang street.」
 朝のハン河沿いはどんな感じだろう?と期待していたのだが,夕涼みの魔法が切れたそこは,ただの普通の通りでしかなかった。

 ふと,行ってもらいたい場所が頭に浮かんだ。
 「Go to the fish market.」
 ・・・朝なら,魚市場らしい活きのよい光景が見られるかもしれない。
 OKとシクロがまた動き出す。バクダン(Bạch Đằng)通りからドンダー通り(現在はレズアンLê Duấnと改称)・・・?? 昨日,バイクで通ったのと道筋が違うような気がするが。
 両側に2階建てくらいの高さの建物が立ち並ぶ,広目だがちょっと雑然とした通り。物売りやシクロ,行き交う人も多くて,生活の匂いが漂っている。
 「Here!」
 そう言って彼が指差したのは・・・コン(Cồn)市場。そう,昨日歩いて通りすがったダナン第一の公設市場。それは「Fish market」ではなくて「Big market」だ。お互い英語の発音と聞き取りに大きな欠陥があったらしい。
 とはいえ,来てしまったものは仕方がない。見物していこう。歩道にきっちり寄せて停めてくれたシクロから降りると,ドライバーも後からついてくる。
 グレイの大きな建物の中は,どこの市場も同じ。狭い通路を挟んで小さな店々。ぎっしり品物を並べたのを眺めるだけで,圧倒されてしまう。無論活気もあって・・・いや僕にとってはあり過ぎだ。
 適当にぐるぐる廻って,入って来た場所に戻った。さっきは気づかなかったミュージックショップ(というほどのものじゃないか)がある。そうだ,アオチャン(Ao Trang)という女の子グループのテープがないだろうか。
 ドライバーに言って,そういうグループのテープがないか探してもらう。有名らしく,店の人はすぐに見つけ出した。高校生風の白いアオザイを着た写真のカセット。一瞬海賊版かな?と思ったけど,テープにもちゃんとメーカーやら番号が印字されているから,本物だろう・・・か。

 ほくほくと外に出ると,サトウキビのジュース:シントー(Shin Tố)の屋台が店開きしていた。シクロを動かそうとするドライバーを止めて,ライムのジュースをおごる。3月とはいえ,ヴェトナム中部はもう暖かい。風通しのあまりよくない市場の中を歩いた後,ぶっかき氷の入ったジュースは溜息が出るほど甘露なのだ(この後,お腹の調子が悪くなるかな?と少し心配だったが,まったく何ともなかった。胃腸もヴェトナム慣れしてしまったらしい)。
 昨夜のバインミー(Bánh Mì)に始まって,Ao Trang,シントーという行動は,ドライバーのよく見る外国人観光客のパターンとは違っていたようで,かなり打ち解けて話をするようになった。
 シクロが好きなのにサイゴン(ホーチミン)市ではシクロに安心して乗れない,と嘆いたら,「サイゴンにはシクロの悪質なマフィアがいるからねえ。だけどダナンにはまだいないよ。だから安心して乗れるんだ」・・・映画「シクロ」みたいな話だ。

 どこという当てもなく,彼に任せて市内を巡る。街の様を眺め,背中越しにお喋りしながら。・・・それにしても,昼間は外国人の姿が全然見えない。夕方になるとかなり見かけるというのに。皆,ホイアン(Hội An)とか五行山,ミーソン(Mỹ Sơn)遺跡やハイヴァン(Hải Vân)峠など,近在の観光地に出かけたのだ。確かに,大きな都市として便利ではあるけれども,市内そのものにはめぼしいスポットは少なく,観光の中継地点という感じだ。
 そういえばもうフィルムが足りない。最寄りのカメラ屋につけてもらった。コダックのISO400,36枚撮りを3本。店頭のケースにはISO100しか置いてなくてまごまごしていたら,彼がヴェトナム語で店の人に伝えてくれた。Cám ơn!
 せっかくだから,と シクロ入りで記念に写真を撮った。ドゴール帽を目深にかぶり直して,はい,チーズ! できたら日本から送るから,名前と住所を書いてくれよ。
 旅行の間に何でもかんでも書き込んでいるメモ帳。その1ページにさらさらっと書いてくれた名前を見て僕は驚いた。Ton That Chuongという姓名の前二つは,漢字に直せば尊室。最後の王朝である阮朝の流れの一族の姓だ。有名どころでは,フランス植民地化の過程で咸宜(Hàm Nghi ハムギ)帝を担いで反仏運動をやったトン・タット・テュエット(Tôn Thất Thuyt:尊室説)が出ている。・・・世が世なら,傍系皇族の一人として高級官僚にでもなっていただろうに。

 そんなことをしているうちに時計の針は10時をまわった。そろそろ戻らなければいけない。昨日と同じ単価で計算して支払って,宿の前で握手して別れる。
 1時間後。フエ行きのバスに乗り込んで,動き出した窓の外を眺めていたら,四つ角に彼がシクロを停めて立っていた。笑顔で手を振っている。ちょっとじんとした。窓を開けて,僕も手を振り返す。
 いいやつだったな。サイゴンにも彼,Choung君みたいな実直なシクロマンが大勢いれば安心できていいんだが。


ダナンのシクロマン
Google Map, Vietnam(1998.03)




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  1. 2015/11/03(火) 09:18:35|
  2. 越南:ダナン,ホイアン
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Ikuno Hiroshi

Author:Ikuno Hiroshi
Self
↑現在  ↓過去の一時期
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広島から沖縄へ移住した100%ゲイ。
年齢不詳に見えるが五十路を越えた。
ハッテンバで出逢った10歳下の相方と
・・・何年目だっけ? でも,いつも
いちゃいちゃ熱々バカッポー実践中。

LC630以来の筋金入り林檎使い。
Power Macintosh 7300
→ iMac(Blueberry)
→ eMac
→ iMac (20-inch, Early 2009)
虎→雪豹→獅子丸
→山獅子→寄席見て
→得甲比丹
iPad miniは2017.06.08に退役,
以後はiPad mini4(Gold)に。
更に,iPhone6!
ネットはNiftyServe以来の古参兵。

ついでに典型的なB型的性格。
パタリロのギャグは
ほぼ暗記しているらしい。
猫・犬複本位制だったが,
現在は,猫本位制に移行。
芸能・スポーツ以外の雑学王(笑)

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財団法人 エイズ予防財団

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読書中の本(2017.Aug.06~)

honto
ロシア中世都市の政治世界 都市国家ノヴゴロドの群像

ISBN :4-88202-738-0
松木 栄三著
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