The 3rd. ..........なべてこの世はこともなし

 1999年に沖縄移住したゲイが垂れ流す身辺雑記,気になる記事,年下彼氏とのノロケ,過去旅話。

No.5448:ダナン(Đà Nẵng)からフエ(Huế)へ3

 峠を勢いにまかせてどんどんマイクロバスは下る。快調なエンジンに物を言わせて,のろのろ前を塞ぐ車は容赦なく追い越す。カーブでもやるから,少々怖い。
 ・・・だがこの運転手,ただ飛ばすだけではない。ツーリズム・カフェのスタッフだけあって,ランコー(Lăng Cô)村がよく眺められるポイントに差しかかると,一時停止して写真を撮るか?と聞いてくれたのだ。
 ここは入江と外海の間に発達した砂洲上の村。西側は静かな潟,東側は白砂に押し寄せる波,と対照的な景色が楽しめる。
 最初に彼が言ってくれた地点は,ガイドブックなどでよくランコー村の紹介写真に出てくるような,びしっと決まったアングルで撮れるポイントだった。とてもいい構図なのだが,ここから撮ったらガイドブックと同じ,いや素人だからもっと出来の悪いコピーになってしまう。結局そこで1枚,もう少し下った位置から更に1枚だけシャッターを切った。

 時間的に言ってここで昼休憩をとるはずだが・・・。マイクロバスが止まったのは,前回フエから下って来た時に寄った食堂だった。ドライバー向けのドライブインという役割以上に,どうやらツーリズム・カフェなどと契約しているらしい。前に来た時は,若い女性二人組,なぜかロンジー(ミャンマーの民族衣装)を穿いた男がいたりしたが,今回は日本人は僕だけのようだ。
 風通しのいい食堂の中にはフランス人ツアー客たちがランチを始めようとしている。ランコーのビーチで泳ぐツアーらしく,海で濡れた体を井戸水で流してる姿も。・・・皮膚の色素が薄い白人がこんな強い日射しを素肌に浴びて,大丈夫なのかと他人事ながら心配になる。
 テーブルの上には程よく茹でられた蟹の山。会話を楽しみながら蟹にむしゃぶりつく・・・蟹を食べるとそちらに集中して静かになるのが普通だと思うが,さすがはフランス人,お喋りも止まらなかった。
 僕とドライバーはと言えば,彼らを背にしてほぼインスタントに間違いないフォーをそそくさと食べる。金にならない客だ。
 時間は充分にあるとドライバーが言ったので(たぶん休憩したかったのだろう。そのつもりで飛ばしてきたのかもしれない),食堂の裏手の砂丘を越えてビーチに出てみることにした。

 さらさらと靴を下ろすたびに崩れる白い砂。見た目はきれい,でも歩きにくいことこの上ない。よたよたとペンギン風になりながら砂丘の斜面を登って。頂上で南シナ海の風が吹きつけるかと思ったが,そこは一列目。もう一度下って貧弱な潅木と砂の鞍部を更に歩いて,二列目を越えなければ海は拝めない。
 頭上からの太陽と砂からの照り返しで焙られて,暑さで半ば舌を出しながら歩く僕に,どこからともなく現れた二人の男の子がまつわりついてきた。
 「マッサー,マッサー」
 マッサージするぞ,という意味だが,別にビーチチェアで寛ぐわけでもなし,大体小学校1年くらいの男の子たちでは力足らずでマッサージなぞ満足にできるわけがない。でも,いらないいらないと身振り付きで答えても,「ハイそうですか」と引き下がる彼らではない。
 「Why not?」
 一人前に片言の英語で攻めながら,二人して背中を叩く。背骨,肋骨に拳が当たって少々痛い。
 そのまま知らん顔して歩いてると,「Pay money.」と手を出す。
 「It's not massage!」
 大仰な呆れ顔を作ってそう言っても,懲りない笑顔で「マッサー,マッサー」そしてポカポカ。半ば遊んでいるというか遊ばれているような・・・。
 どうせ暇な旅行者の身,この子供たちとつき合うのも悪くはないか。そういうわけで,僕がビーチを眺めて歩き回ってる間中,彼らは側につきまとっていたのだった。
 「You didn't massage.」
 そう言って1人をとっ捕まえ,すかさず細い肩を揉んでやる。キャア~と大袈裟に身をくねらしたところで,
 「This is massage, O.K?」
 「O.K.」親指を上に向けて握り拳。
 「So pay money. Năm nghìn Đồng!(注:5000ドン)」
 僕がさっきの彼らの言い回しを真似たら,一瞬きょとんとして,すぐにけらけら大笑い。邪気がなくていい。
 相変わらずの「マッサー」攻撃の合間に,「これこれ」とポケットから出して見せてくれた宝物。古銭だ。錆が出ていて額面は判読できないが,円形方孔の中華影響圏の銅銭。こんな小さな子が買い集めるわけはないから,拾ったものだろう。ホイアンに出入りする貿易船が沖合いで沈没して,その積荷が打ち上げられたのかもしれない。


ランコー村
左は南シナ海,向こうは潟。幹線道路はこの砂洲上を通る。

ランコー村
砂洲の切れ目。潮流の関係か,中部のこのあたりは砂洲がよく発達している。
ここから左手に道路は向かい,ぐるりと水面を迂回して前に見える橋を渡ってランコー村に入る。

ランコー村
手前の山に,ハイヴァン峠へ向かう道が見える。その向こうの切れ込んだ鞍部が峠だと思う。

Google Map,Vietnam(1998.03)



 注)ランコー村には,21世紀になってから,ビーチに大きなリゾートホテルができたと聞いた。景観が大きく変わってなければいいのだけれど。
 ・・・もしかしたら,あの男の子たちは,ホテルのスタッフになっているかもしれない。



スポンサーサイト
  1. 2016/05/24(火) 10:20:39|
  2. 越南:移動,車窓風景
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<短歌976 | ホーム | 俳句1132>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://itzamnaj.blog56.fc2.com/tb.php/5448-a33d6632
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

Ikuno Hiroshi

Author:Ikuno Hiroshi
Self
↑現在  ↓過去の一時期
755860.jpg
広島から沖縄へ移住した100%ゲイ。
年齢不詳に見えるが五十路を越えた。
ハッテンバで出逢った10歳下の相方と
・・・何年目だっけ? でも,いつも
いちゃいちゃ熱々バカッポー実践中。

LC630以来の筋金入り林檎使い。
Power Macintosh 7300
→ iMac(Blueberry)
→ eMac
→ iMac (20-inch, Early 2009)
虎→雪豹→獅子丸
→山獅子→寄席見て
→得甲比丹
iPad miniは2017.06.08に退役,
以後はiPad mini4(Gold)に。
更に,iPhone6!
ネットはNiftyServe以来の古参兵。

ついでに典型的なB型的性格。
パタリロのギャグは
ほぼ暗記しているらしい。
猫・犬複本位制だったが,
現在は,猫本位制に移行。
芸能・スポーツ以外の雑学王(笑)

HIV関連

財団法人 エイズ予防財団

HIV検査・相談マップ

読書中の本(2017.Oct.19~)

honto
足利義満 公武に君臨した室町将軍

ISBN :978-4-12-102179-3
小川 剛生著
中公新書(972円)

過去の『読書中の本』一覧

最近の記事

コメントツリー

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

月間アーカイブ

plugin by カスタムテンプレート

カテゴリ

お気に入りリンク








旅先写真館
風景・街並み



ゲイリンク

SindBad Bookmarks
SindBad Bookmarks

All About [同性愛]
All About [同性愛]

にほんブログ村 同性愛・ゲイ(ノンアダルト)
にほんブログ村
同性愛・ゲイ(ノンアダルト)


ブログ内検索

RSSフィード

管理者運営サイト

このブログをリンクに追加する

連絡先