The 3rd. ..........なべてこの世はこともなし

 1999年に沖縄移住したゲイが垂れ流す身辺雑記,気になる記事,年下彼氏とのノロケ,過去旅話。

No.5783:古都フエ(Huế)散策2

 店の前で深呼吸を繰り返して。では,入ろう。
 店内には,壁周りを利用してぎっしりと布地がディスプレイされている。見て廻るだけで気分が浮き浮きしてくる・・・全部女性用だから,勿論それで注文はしないが。ミシンや裁縫台の置かれた一角,というよりそれを囲んで布地が飾り付けられてるという感じだが,そこではお針子たちが忙しく断裁や縫製に勤しんでいる。
 一渡り眺め終わったところで,若い女性店員に男性用アオザイ・アオテー(Áo the)を作りたい旨を伝える。ではまずサイズを,と例によって10数ヶ所をメジャーで計られる。首周り,腕の長さ,肩幅,胸囲,脚の長さ・・・これでも,女性に比べれば,計測箇所は半分以下なのだ。女性用がどれだけ体にフィットして作られるか想像できようというもの。
 さてどんな布地にしようかと,割と広めの店内を物色して回る。ふと,店のまん中に据えてあるガラスケースに目が止まった。この中にも布地が置いてある。近づいてよく見ると,綾織の豪奢な雰囲気の漂う絹のようだ。そこらへんにある凡百の中華柄ではなく,金糸なども使って細かく鳳凰や龍が表現されている。これはなかなか良さそうだ。ケースの中に入っているくらいだから,いい布地に違いない。
 早速出してもらい興奮気味に手に取った布地は,厚みもあり目が詰んでいてずっしりと重い。こんな生地で作ったら,さぞかし風格の漂うものになるだろう。色は・・・落ち着いた色合いの素晴らしい皇帝風の黄色も捨てがたいが,ここは緑にしよう。この色のものはまだ持っていない。
 肝心の仕立て込みの値段は?と尋ねると,共布のカン(輪状に布地をぐるぐる巻きにしたシャンプーハット状の被り物)と白いクァン(Quần パンタロン状の長ズボン)込みで55$。店主にディスカウントを申し込むも,「ここは定価販売!」とヴェトナムらしからぬ回答。それだけ自信があってのことだろう。無理押しはせず,妥結。

 出来上がりの日を確認して支払いを済ませると,もう外は宵闇を通り越して暗くなっていた。空気は相も変わらず蒸し暑い。サウナに入ったような感覚。これまで,殆ど同じ3月頃にに三回も訪ねているのに,三回とも気候が違う(涼しい雨,気温高めの晴,そしてこの蒸し暑さ)というのは,この時季が季節の変わり目で不安定ということなのか? それともフエの守り神様にでも翻弄されているのか。
 城門をくぐって,先程迷ったフィントゥックカン(Huỳnh Thúc Kháng)通りを南下。明るく照明された小公園では遊具ではしゃぐ子供たちと,それを見守る家族。ほのぼのとした空気。
 ちょうどシクロが通りかかったので,呼び止めて新市街まで戻ってもらうことにした。このまま歩いていたら,宿に帰りつくまでにオーバーヒートしてしまいそうだった。とりあえずチャンティエン橋(Cầu Trường Tiền)を渡ったところで降りる。5,000ドン。
 往路では気づかなかったが,レロイ(Lê Lội)通りとの角に立派なホテルの姿が見えた。かなり広い敷地だが,前に来た時はなかった筈・・・ガイドブックを見ると,ずっと工事していたモリン・ホテルが無事にオープンしたらしい。確か,以前は格安な使いやすいホテルとして紹介されていたと思うが,とても高級な感じになってしまっている。庶民的な河沿いの公園,人と車とバイクの行き交う新市街のメインの通り,阮朝時代の国学を改めたフエ師範大学の静かな佇まいの中で,そこだけ空気が違う。何年か経てば,馴染んでくるのだろうが。

 湿気の多いそよ風に吹かれながら,河岸公園側の歩道をのんびり歩いていると,ぽつりと雨粒が落ちた。・・・夕飯をどうしようか。レロイ通りには食堂のような店が殆どない。とうとう宿のすぐ近く,高級ホテル・フォーンザン(Hương Giang)のところまで来てしまった。雨さえ降っていなければ,この先のダップダー(Cầu Đập Đá)橋を渡って,向こうの庶民町の食堂を開拓してみるところだが・・・。
 仕方がないので,橋の手前の横町に入ったみた。と,すぐそこでお粥屋が店開きをしている。軒が低めの,地元の人たちが小腹を満たしにちょいと寄るような小さな店だ。早速首を突っ込んで何のお粥があるのか?と尋ねても,英語が通じない。外国人観光客が立ち寄るような店ではないから,当たり前といえば当たり前だが。
 「Chao vịt?」
 大きな鍋をかき回してる女将に片言のヴェトナム語で尋ねたところ,大きく首を振って申し訳なさそうに「Cháo gà.」。
 ホイアンの路上粥屋で食べて気に入って以来,ヴェトナムの粥=アヒル肉と決めつけていたのだが,この際鶏でもいいだろう。雨も強くなってきたから,これ以上夜道をうろつきたくない。
 突然中に入ってきた外国人に,わいわい言いながら粥を食べていた男たちがお喋りをやめて,上から下まで僕を観察。田舎や庶民的な店ではよくあることで,既に慣れていたので気にしない。
 「口に合うのかしら」と言った風のぎこちない微笑みと共に,女将がテーブルに置いてくれた鶏粥。アヒル粥と同じように,脂が浮いていて美味しそうだ。唐辛子の細かい粉がパパッと振りかけられているのが,フエ風と言ったところか。
 アルミの蓮華もどきのスプーンで湯気の立つ粥を掬って,ふうふう。猫舌の僕には,この熱さは無理だ。適温になったところで口へ・・・砕けた柔らかい米と鶏骨から出た出汁,ほんのりとした塩味に,ちょっとだけ唐辛子のアクセント。なかなかいける。肉は,エキスを汁に出してぱさっとした感じになっていたが。男たちの食べかけのと比べて,肉の量が多いように見えたのは,外国人向けサービスといったところか。
 丼たっぷりに入っていて,それなりに腹も満ちて,それでたったの3,000ドン(30円弱)。

 さて,宿に帰ろう。粥は消化がいいから,寝るまでには小腹が空いてしまう筈。途中で見つけた屋台のバインバオ(Bánh Bao肉饅)2個の包みを抱えてびしょ濡れで戻った僕に,レセプショニストはガイドが捕まったと笑顔で教えてくれた。1日25$で好きな所を廻ってくれるそうだ。
 では,部屋でガイドブックを見ながら,行きたい,見たい場所をピックアップするとしよう。


フエのアオザイテーラー
Google Map, Vietnam(1998.03)




スポンサーサイト
  1. 2016/10/24(月) 10:55:02|
  2. 越南:フエ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<俳句1214 | ホーム | 短歌1034>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://itzamnaj.blog56.fc2.com/tb.php/5783-2e2021ae
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

Ikuno Hiroshi

Author:Ikuno Hiroshi
Self
↑現在  ↓過去の一時期
755860.jpg
広島から沖縄へ移住した100%ゲイ。
年齢不詳に見えるが五十路を越えた。
ハッテンバで出逢った10歳下の相方と
・・・何年目だっけ? でも,いつも
いちゃいちゃ熱々バカッポー実践中。

LC630以来の筋金入り林檎使い。
Power Macintosh 7300
→ iMac(Blueberry)
→ eMac
→ iMac (20-inch, Early 2009)
虎→雪豹→獅子丸
→山獅子→寄席見て
→得甲比丹
iPad miniは2017.06.08に退役,
以後はiPad mini4(Gold)に。
更に,iPhone6!
ネットはNiftyServe以来の古参兵。

ついでに典型的なB型的性格。
パタリロのギャグは
ほぼ暗記しているらしい。
猫・犬複本位制だったが,
現在は,猫本位制に移行。
芸能・スポーツ以外の雑学王(笑)

HIV関連

財団法人 エイズ予防財団

HIV検査・相談マップ

読書中の本(2017.Oct.19~)

honto
足利義満 公武に君臨した室町将軍

ISBN :978-4-12-102179-3
小川 剛生著
中公新書(972円)

過去の『読書中の本』一覧

最近の記事

コメントツリー

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

月間アーカイブ

plugin by カスタムテンプレート

カテゴリ

お気に入りリンク








旅先写真館
風景・街並み



ゲイリンク

SindBad Bookmarks
SindBad Bookmarks

All About [同性愛]
All About [同性愛]

にほんブログ村 同性愛・ゲイ(ノンアダルト)
にほんブログ村
同性愛・ゲイ(ノンアダルト)


ブログ内検索

RSSフィード

管理者運営サイト

このブログをリンクに追加する

連絡先