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The 3rd. ..........なべてこの世はこともなし

 1999年に沖縄移住したゲイが垂れ流す身辺雑記,気になる記事,年下彼氏とのノロケ,過去旅話。

No.6889:古都フエ(Huế)散策15

 川風を感じながら,2人とも椅子の背にもたれてうつらうつらとまどろむ。30分くらい経ったろうか。
 Anさんがごそごそ動き出した。そろそろ行くのか?とカメラバッグを肩にかけようとしたら,「Wait.」・・・次に訪れる「扶光郡王邸宅」の場所を確認してくると言う。
 「個○旅行」に住所まで出ていたからそれもメモに書いておいたのだが,歴史に詳しいさすがのAnさんも,そこに客を案内したことは今までなかったようだ。隠れた名所,なのか。・・・それにしても,ガイドが知らないような場所まで載せているとは,とんでもないガイドブックだ。
 Anさんが出ていった後,見るともなしにフォン河(Hương Giang,香江)の流れを眺めていた。フエには都合3日の滞在だ。明日は大内(Đại Nội 大内,王宮地区)あたりを見て回って,明後日はどうするか。観光客らしく,郊外のビーチにでも行ってみるか? 泳ぐ気はないが,郊外風景が眺められるし。問題は,足だが・・・。
 などとぼんやり考えているうちに,Anさんが戻ってきた。ここからそう遠くはないらしい。ちらりと時計を見ると,15時前。遅めだが,気持ちよい昼休みだった。

 これから向かう「扶光郡王邸宅」は,阮朝後期(フランス植民地時代だ)の傍系皇族で,最後の皇帝・保大(Bảo Đại)帝フランス留学中に摂政を務めた尊室訢(Tôn Thất Hân)の住居だという。その功績によって,死去後に扶光郡王(Phò Quang Quận Vương)の爵位を追贈されたので,そう呼ばれる。
 91歳の長寿を保ったとはいえ,死去は1944年のことだから,ほぼ現代史の人と言ってもいいのかもしれない。

 グェンシンクン(Nguễyn Sinh Cung)通りを少し北上して右折,大き目の家の並ぶ住宅街っぽい小道へ入る。ここでしばし逡巡したAnさんは,メモした住所を通りがかりの人に見せて場所を確認して,再び走り出した。
 やがて着いたのは,広い整った庭を持った屋敷地。庭には鉢植えがそこここに置かれている。隅には怪石が据えられているのも見えた。正面には,コンクリートの現代風の建物。
 おもむろに中に入ってみると,庭の左手に軒の深い,日本風に言えば寄棟造り風の屋根の平屋があった。壁はラベンダーがかった薄い青,そこに開く小窓はパステルイエロー。
 と,そこまでは瀟洒な高級住宅と変わらないが,さすが傍系とはいえ皇族の一員の家だけあって,凝った造りがあちこちに見られる。軒を支えるのは木ではなく石柱。縦にすっと刻み目を入れて柱頭は花弁の飾り彫刻。軒の下の廊は美しい釉薬をかけた磚(タイル)敷き。
 母屋の前面に立てられた片開きの舞良戸はマホガニー色で,5つの方形の部分に分けられてすっきりとした幾何学的な彫りが施されている。

 落ち着いたいい感じの家だな。感心しながら早速中へ入ろうとしたら,出てきた若い男に制止された。
 Anさんと彼がしばらく話した結果,わかったこと。ここは個人の所有で,現在もその人が居住している。その女主人の許しがあれば中を見ることもできるが,あいにく現在サイゴン出張中なので,彼(住込みの管理人だそうだ)の一存では入れられない・・・。残念だが,公開されていないのでは仕方がない。
 開いている扉を通して外から眺めたり写真を撮ったりする分には構わないというので,敷居を跨がないでじっくり見させてもらうことにする。
 中もやはり磚敷きだった。柱は濃いマホガニー色の丸い木材,その足下は壺型の石材。壁は外と同じ青に塗られていて,見た目にも実際にも涼しそうだ。暑熱のフエの気候に合った,合理的な造りと言える。
 で,問題は調度。これがまた立派なもので,見えたのは応接セットと衝立てだけだったが,どちらも細かい透かし彫りに装飾彫刻がきっちりと施されていた。椅子の背は左右から龍が守るデザイン,衝立てには豪華な螺鈿が全面にちりばめられて外からの光に輝いている。アンティーク好きが見たら涎を垂れ流しそうな品々だ。
 事業をやっているという女主人,元からあった家具調度を使ってこうして住みなしているのは,きっと素敵な人柄なのだろう。・・・革命やヴェトナム戦争があったから,尊室訢の子孫なのかどうかはわからないが。
 ここは,もう一度来たいと思った。是非とも中をきっちり見たいものだ。


扶光郡王邸宅

扶光郡王邸宅

扶光郡王邸宅

扶光郡王邸宅
Google Map(個人所有の邸宅につき,場所は表示しない), Vietnam(1998.03)




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  1. 2018/03/26(月) 10:35:03|
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Ikuno Hiroshi

Author:Ikuno Hiroshi
Self
↑現在  ↓過去の一時期
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広島から沖縄へ移住した100%ゲイ。
年齢不詳に見えるが五十路を越えた。
ハッテンバで出逢った10歳下の相方と
・・・何年目だっけ? でも,いつも
いちゃいちゃ熱々バカッポー実践中。

LC630以来の筋金入り林檎使い。
Power Macintosh 7300
→ iMac(Blueberry)
→ eMac
→ iMac (20-inch, Early 2009)
   [Special御苦労!]
→ iMac (21.5-inch, 2017)
虎→雪豹→獅子丸
→山獅子→寄席見て
→得甲比丹→高紫衣裸
→萌侍
iPad miniは2017.06.08に退役,
以後はiPad mini4(Gold)に。
更に,iPhone6!
ネットはNiftyServe以来の古参兵。

ついでに典型的なB型的性格。
パタリロのギャグは
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