
連れ込まれたのは,道に面して建つ木造の広い食堂。けっこう繁昌しているようで,厨房(というほどはっきり食堂部分と区別されていない。流行りの言い方をすればオープンキッチン)では6人くらいが忙しくしている。
頑丈なだけが取り柄ですと言いたげな木のテーブルにつくと,すかさずメニューが配られる。何にしようか? ヴェトナム語と英語で書かれているのでわかりやすいが,欧米系の連中はお品書きを読んで頭の中に今一つ具体的な料理像が浮かばないらしく,店の人を捉まえて一々どんなものか尋ねている。
僕はCơm Trắng Thịt Bòと書かれたものとCà Phê Sữa。何のことはない,野菜たっぷりの焼肉ぶっかけご飯と練乳たっぷりの甘いヴェトナムコーヒーだ。
出てくるのを待つ間に,店の裏のトイレを借りる。同じ考えの人間は多いわけで,ちょっとした列ができている。出てきた男性が顔をしかめているのが気になって,連れ(というか奥さんだろう)の女性に囁く声に聞き耳を立てた。
「一種の冒険だな」
??? そんなにとんでもないトイレなのか?と興味半分おそれ半分で入ってみたら,ごく普通の和式に近い形。手動水洗(つまり,小桶に水を汲んで自力で流す方式)だし,いったいどこが「冒険」なのだろうか。つまりは,文化の違い,というやつか。

ごく普通の味つけのご飯を食べ終わって,一息。
分厚いガラスコップにたっぷり注がれた熱いコーヒーを飲みながら,改めて食堂の中を見回すと天井に目がとまった。板は張ってなくてそのまま屋根の裏側が見えるから,正確には「天井」ではないが。
外見から広めの民家を改造したものかな,と思っていたがどうやらそうではないようだ。

こういうのを見るのは好きな方だからけっこう興奮してしまって,それからは上ばかり眺めて観察していた。他のツアー客は変なやつだと思ったに違いない。
たぶんこの建物は昔の村の集会所,もしくは廟のような建物だったのではなかろうか。共産党の力が最初から強かった北部では,宗教的な建物が世俗の目的に転用されることが多かったと聞いたことがある。
- 2008/06/06(金) 10:01:31|
- 北部(越南)
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