どこやらへ姿を消していたミニバスが戻ってきた。ガイドに呼び集められて,三々五々乗り込む。無論僕は窓から。
しかしこの方法には一つだけ欠陥があった。どうしてもシートを踏んづけなければいけないので,細かい泥が・・・。たぶんこの中には水牛やら,もしかしたら人間の排泄物の粉末化したものまで混じっている・・・の・・・かも???
そんな神経質な不安はぱっぱっと乾いた泥と一緒に払い除けて,なるべく楽な体勢で座って,また出発だ。
道は小さな峠を越えてはまた下るのを繰り返す。
道路の舗装の程度の割には揺れがひどい。ことに,対向するトラックなどをよけようとして路肩に寄った時のショックは・・・。昼飯を食べて,窓枠に頭をもたせかけてうつらうつらし始めた時に限って「ガタン!」とおいでになる。その度にごちんと頭を窓枠にぶつけて目が覚める。眠いのに眠れない,おまけに痛い,とまるで拷問のようだ。
しかし,何度目かの時は本気で痛かった。揺れが激しすぎて窓枠では止まらず,そのやや上のカーテンレールに脳天をぶつけてしまった。けっこう角があったから傷になったらしい。後日頭を洗っていたら,大きなかさぶたがポロッと取れて,予想外のダメージだったことに気がついて驚いた。
いくつかのたんこぶを作って,眠るのは断念。仕方がないから窓の外を眺めよう。
もうあたりの土の色は見事な煉瓦色。触ったら指に染みつきそうな鮮やかさだ。これが紅土というものか。
緻密なこの土の露出した崖,ところどころきれいに長方形に切り取られている。水平になった切り取り部分には質素な家が建っていたり,菜園になっていたり。どうかすると二段重ねに削って,下は菜園,上には家,というのも。
・・・しかし,特に土留めというか法面の保護はされていないから,いくら緻密な土層とはいえ雨水で浸食されるんじゃないかな,と思っていたら,どさっと崩れているところもいくつか目撃。崩れたらその土はまた畑かどこかに持って行って,また新たに削り直せばいいということなのか? 危なくないのか? それでいいのか?と気になって仕方がない日本人。
右手後ろの奥の方に,きらきらと水面が広がっていた。
視線の角度のせいか,山々がポッカリと浮かぶ島のように見えたものだから一瞬海か?と錯覚してしまった。「まだまだ先は遠いんだなあ」と絶望的な気分になったが,もちろんこれは海ではなく,タックバー湖というダム湖。
水面の向う側の山の上方には白い雲がもくもくと湧き出している。切れ目から日光が射し,チンダル現象のおかげで何やら幻想的。
この辺は気候が合うのか,斜面に茶の木の小さく丸まった姿が列をなしている。聞いた話では,霧がかかるといい茶葉ができるというから,このあたりもそうなのだろう。
ある茶畑では,中年女性が茶葉を摘んでいる傍らで水牛が口をもぐもぐとさせていた。まさか茶の葉っぱを食べてるわけではないと思うが。それにしても,けっこう急な斜面なのに,よくあの巨体で登れたものだ。牛や水牛は見た目よりもフットワークが軽い,らしい。
ススキが車窓をかすめる。ちょっとだけ穂が出ている。
時おり見える民家は,土と竹で作られている。縦に割り裂いた竹を編んだ壁。そこに浮かぶ編み目模様のリズムが目に心地よい。
庭先で遊んでいる子供たちが歓声とともに手を振ってくれる。始めのうちは窓際の誰かが手を振り返していたが,朝早くにハノイを出て半日以上,誰も既に疲れが隠せず,もう笑顔を作るだけ。
午後の4時前。まだまだ道は続く......。
BGM NOW Celine Dion/When I need You[★★★★] |
- 2008/06/16(月) 13:05:55|
- 北部(越南)
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