しばらく行くと本当に小さな市場町を通りがかった。すかさず,誰かが叫ぶ。
「トイレに行きたい!」
ガイドも休憩のいい潮時と判断したか,ドライバーに声をかけて道端の広くなった所に停車。・・・そして皆がバスから下りる。それはそうだ,ずっと足下の狭い車内に押し込められてシェイクされてきたのだから,ここらで新鮮な空気と散歩でリフレッシュでもしないことには身が保たない。
ここも昼飯のドァンフンと同じく,道の分岐した所にできた集落。規模はずっと小さいが。
トイレは小川のほとりにぽつんと建っていて,たぶん排泄物はその水に流す自然タイプ。手を洗う水は,古めかしい井戸から跳ね釣瓶で汲み揚げて。実際に使うのは初めてだが,何やら懐かしい気がする。
小川の向こう側には民家が背中を見せる。ちょうどこちら側に豚舎があって,かなり育った豚が一頭うろうろしていた。こいつがまたよく鳴く。見知らぬ人間どもがうろうろしていたのに興奮したのだろうか。あっちへ行ってはピギーッ,こっちへ来てはプギーッ,窓枠に頭をもたせてこちらを眺めながらフガフガ。見てて飽きなかったおかげで暇つぶしにはなったが・・・こいつもあとどのくらいの命なのだろう。きっとおいしくいただけるに違いない。
ミカンが小山に積まれた雑貨屋の店先。二つ買って早速皮を剥いた。皮の色に緑が残っている割には甘い。薄皮が日本のより分厚くて,日本式に口の中でむぐむぐやってもなかなか中身が出てこない。僕らが悪戦苦闘するのを,面白そうに見物する町の人たち。いっそがしがしっと噛んでペッと吐き出せばよかったのかもしれないが,それをやると道端がごみだらけになるし。地元の人がやってるからと言っても抵抗があるので,頑固に日本式で。
・・・ラオカイ行きのバスが通りがかったが,乗り降りする人がいなかったので停車はしなかった。例によって屋根には荷物満載。
小休止で元気を取り戻したミニバスの中は,また少し活気が戻った。お菓子が行ったり来たり。話も弾んでいる。
窓の外には今までのキン族(ヴェトナムを構成する最大の民族)の土間式とは違う,高床式の家屋が目につく。太い柱が床を支え,屋根は茅葺き入母屋風。人の背丈ほどの高さの床下空間は,家畜がいたり,物置きになっていたり。高床式というところを除くと,夏を旨とした日本の家に造りがよく似ている。風通しはよさそうだが・・・この時期,寒くはないのだろうか?
いつの間にか日が落ちた。
予定では18時頃にサパに着くはずだったが,パンク修理や何やらで時間を食ってしまって,越中国境の街ラオカイに入ったのは,余光も失せてとっぷりと暗くなった19時頃。
淡々と紅河をコックレウ橋で渡ってサパへの道に入ってしばらく・・・キムタウ橋の手前で不意にバスが止まった。慌てるドライバー,エンジンを覗きに行くガイド,ざわざわする客。
「オーバーヒートしたので,冷やすためにここにしばらく止まります」
・・・またか。幸い,道の両側には民家やら店が並んでいるので,退屈せずにはすみそうだが。
例によって窓から脱出する。途端に目の前の雑貨屋の犬が吠えたてる。影響されたか,隣の家の子犬も負けじとキャンキャン・・・うるさいことこの上ない。
空を見上げると見事な星の群れ。日本では明るくてよくは見えない星空だが,ちっぽけな星までよく見える。あまりしげしげとは眺めたことがないから,星座もオリオン以外はどれがどれやらさっぱりわからない。だが,くっきりと夜空に浮かび上がっていて感動する。オリオンの大星雲がまっすぐに睨んでもはっきり見えるということは,相当空気が澄んでいるのだな。
BGM NOW a-Ha/I call Your Name[★★★] |
- 2008/06/20(金) 09:08:53|
- 北部(越南)
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