あまり見上げ続けていたおかげで,首が痛くなってきた。別のことで暇つぶししよう。
雑貨屋の隣の子犬,いつの間にか静かになっていた。近寄ると小さな尻尾を振りかけて,でもちょっと怯むような風・・・こいつは大丈夫だな。前にしゃがみ込んでそっと手を出す。フンフンと匂いを嗅いで,ぺろりと一舐め。これで安心したらしい。頭を撫でるとぴんぴん尻尾を振る。・・・そのうち調子にのって「腹も撫でれ」と仰向けに。いいのか,こんな警戒感のない犬で。番犬にはならないな。
それにしてもお腹が空いてきた。
何かないかと見回すと,道の反対側にちっぽけな食堂があった。本式に何か頼むと,いつ出発と言われるかわからないから,店先に陳列された三角錐のちまきを2つ買った。1000ドン,大雑把に変換すれば10円というところ。
水を借りて子犬と遊んだ手を洗い,おもむろに外側のバナナの葉を剥く。薄暗い白熱灯の光がてらてらと表面できらめいて,うまそうだ。もちもちとした餅米にうっすらと塩味,ところどころに埋まっている味付けした豚肉,ほんのり脂の味。腹持ちもよさそうだし,ちょっと食べるのには最適な食べ物だ。
同じく飢えを感じた白人2名も,うまそうに食べる僕につられて手を出した。ただし,食文化の違う彼らが,これを美味と思ったかどうかは定かではない。
食べ終わって,粘つく手を洗い終わった頃,出発の声がかかった・・・が,エンジンがなかなかかからない。仕方がないので,男は全員バスを降り,押しがけに協力。ぶるんと一発,無事に始動して歓声が上がったが,この調子で大丈夫か?
ここからサパまでは約34Km。
まっ暗な2車線あるかないかのうねうね道。急な坂やヘアピンカーブがあったりして,スピードが上がらない。対向車はめったに来ない。せいぜいバイクくらいだ。
夜だというのに,道路際でアスファルトをぐつぐつ煮ている人たちがいて,道路補修に力が入っているらしいのは,観光地(=金が落ちる)に向かう重要道路だからか?
のろのろながらも1時間以上走った頃。
ぷしゅう〜と情けない音を立ててバスが止まった。ついにエンジンが昇天したらしい。これはもうどうしようもない。
たまたま下りてきたバイクを捉まえ,ガイドが後ろに乗ってサパへ救援を求めに行った。
12月の山の中,温度はどんどん下がる。外に出るとハーフコートを羽織らないと肌寒いくらいだ。暗いのを幸い,離れた草むらで小用を足して,さっさと自分の席に戻る。エンジンが死んで暖気が出なくなったバスの中はしんしんと冷えていく。疲れてるのか,瞼が重い。・・・これはもしかして凍死する前触れか?などとつまらぬことを考えてしまう。
うつらうつらする耳に外の歓声が飛び込んだ。救援バスがやって来た!
早速乗り込む。外側と同様,中も新しくてきれいだ。もちろん,力強い走り。ここからは何ごともなく,バスは僕らをサパの街まで連れて行ってくれた。
新郵便局の隣のミニホテルの前で下ろされる。時間は既に23時近い。予定では日の落ちる前には到着のはずだったが。
ガイドが客を仕分けする。どうやらホテルは申し込んだツアー会社によっていくつかに分かれているらしい。これは困った。ハノイのミニホテル経由で間接的に申し込んだために,ツアー会社がわからないのだ。なんとかガイドに説明したら,消去法でその目の前のホテルだと判明。
キーを受け取って,荷物を部屋に置くや否や,外に飛び出す。空腹なのだ!とにかく何か食べたい!
しかし,サパの街は既に寝静まっていて,開いている食堂も少ない。方向音痴の身で知らない暗い道を歩き回った日には,絶対に戻れない。どうしようか,と悩んでいたところに救いの神が現われた。あの学者先生だ。
「すぐそこにお粥屋がありますよ」
指差す先を見ると,確かに。煌々と白熱灯が輝いて,温かそうな湯気と座り込む人たちが見える。
「行きましょう」
ここで牛肉入りのたっぷりの熱いお粥を食べて人心地ついた。ピリ辛でおいしかったし,体の中から暖まったし。学者先生に感謝。
ちなみに他のツアー客は,その頃ガイドに連れられて,市場の先の外国人向けレストランに入っていたらしい。説明を全然聞いてなかった。・・・学者先生は確信犯だが。
(ここから,サパ(Sa Pa)1に繋がります)BGM NOW Bank Band/はるまついぶき[★★★★★] |
- 2008/06/24(火) 14:03:13|
- 北部(越南)
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