市場町を過ぎてしばらく。
入江かそれとも湖なのかよくわからない静かな水面をかすめる。日本でいうエリ漁のようなことをやっているのを見かけた。似たような状況だと同じことを考えるらしい。取れた魚はやはりニョクマムに加工するんだろうか?
そうこうしているうちに峠にかかった。これがもしかしてかの有名なハイヴァン峠か,と思ったらあっさり越えてしまった。よく考えると,出発してからまだ1時間ちょっとしか経ってない。
ふと,土の色が変わったことに気がついた。今までは赤っぽい,粘土を思わせるようなねっとりした色だったのが,白っぽいさらさらした砂のような土になった。これが強い太陽光をきらきら反射するものだから,とても眩しい。
しばらくしてまた峠。
今度はかなりの急坂で,バスはうんうん唸りながら登っていく。ふと下の方を見ると,貨物列車がトンネルから出てくるところだった。どちらもゆっくりゆっくり。
何とか越えると,大きな入江が広がった。これまた波一つない静かな水面。全体を眺めると,砂丘で閉ざされかけた潟らしい。道との間に野菜畑が続き,小さな小舟が浮かんでいるという,なんとも落ち着いた詩的な景色。十字架を立てたキリスト教徒の墓地も見える。地図で確認すると,これがランコー(Lăng Cô)の村だった。
9:30,道を外れてちょっとした屋外レストランのようなところで停車。ここで40分休憩だそうだ。朝から何も食べてないので,ここでフォーボーを頼む・・・が,出てきたものは,汁と具こそフォーだが,肝心の麺がインスタントラーメンのような代物だった。わびしい。
ぶつくさ言いながら食べていると,欧米人の家族連れがやってきた。店の中を素通りして砂丘の方へ出て行く。どうやらビーチが近いらしい。その後ももう一組,これはどうやら日本人らしい若い女の子二人組。なぜそう思ったかというと,そのショルダーバッグ。笑うケンケンが大きくプリントされていて,はっきり言って浮いている。今時こんなのを平気で持ち歩く「幼稚さ」は日本人くらいにしかないだろう。
これで終わりかな,と思っていたら,極めつけ,ロンジー(ミャンマーの男性用腰巻き)をはいたサングラスの青年がバイクタクシーに乗ってやってきた。これも日本人だろう。大方ランコー村に滞在してのんびりしているのに違いない。
ここにも土産物売りはいるわけで,食べ終わった僕にその一人の娘が早速寄ってきた。売り物は貝殻のネックレスにホーチミンバッジ,ガムに硬貨,きれいな貝。何か言いながら大きな貝殻を僕の耳に押し当てる。波音が耳の中に響いた。いいね,と微笑んだら「買って」と微笑み返し。
買いたいのはやまやまだが,こんなものをぎゅうぎゅう詰めのバッグの中に押し込んだ日には,帰るまでに粉々になってしまう。
さくさくと砂丘を歩んで,僕もビーチに出てみた。・・・驚いた。内側の入江(潟)とは対照的に,とんでもなく波が高い。ざざーんと蹴立てるような勢いで,間を置いて何度も何度も浜に打ち上げる。砂は真っ白で細かくとてもきれいなのに,こんなに波が打ち寄せていては泳ぐどころではない。一応,太いタイヤチューブを再利用したような浮き輪の貸し出しもやっているようだが。
さっき来た欧米人たちは?と見ると,素直にパラソルの蔭の椅子に悠々と寝そべっていた。南シナ海の潮騒を聞きながら本などを読むという過ごし方もいいかもしれない,そう思った。
このランコーの村にも,ビーチリゾートができたらしい。何もなかったビーチにリゾートを造成するのは最近のヴェトナムの傾向だ。観光的に発展するのは経済面ではいいことだが,その地独特の景観が他の場所と似たり寄ったりのものに近づいていくのは,惜しまれる。
BGM NOW 徳永英明/さよならの理由[★★★★] |
- 2008/07/28(月) 11:05:14|
- ダナン,ホイアン(越南)
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